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監督指針_Ⅱ-2-5 商品開発に係る内部管理態勢

監督指針_Ⅱ-2-5 商品開発に係る内部管理態勢

監督指針_Ⅱ-2-5-1 意義

保険商品の内容は「普通保険約款」及び「事業方法書」に、料率については「保険料及び責任準備金の算出方法書」(以下、「算出方法書」という。)に記載されており、新商品の開発、商品内容の変更は、これらの変更を通じて行われている。

保険会社より商品の認可申請が行われた場合、監督当局としては、契約内容が保険契約者等の保護に欠けるおそれがないか、不当な差別的取扱いをするものでないか、契約内容が公序良俗を害するものではないか等の保険業法に定める基準に適合するものであるか審査を行い、適当と認められたものについて、これを認可することとしている。

近年、保険商品には、わが国における社会の構造的変化・経済活動の多様化等に伴い、国民の生活保障ニーズの高まり、新たなリスクの発生など、保険契約者ニーズに対応すべく多様化が求められている。

こうしたニーズに応え、保険会社が商品開発を行うにあたっては、保険業法等の法令等を踏まえ、自己責任原則に基づき、リスク面財務面募集面法制面等あらゆる観点から検討する内部管理態勢の整備が求められているところ である。

また、保険商品に係る規制としては認可制の枠組みを維持しつつ、保険契約者等の保護の面で問題が少ないとされる商品分野については、順次届出制へ移行しており、さらに、法第 3 条第 5 項第 1 号及び第 3 号に掲げる保険(以下、「第二分野」という。)の企業保険については、届出をしないで特約を新設又は変更することができる特約自由方式が導入されるなど、従来にもまして、保険会社における商品開発に係る内部管理態勢の充実が重要となっている。

監督指針_Ⅱ-2-5-2 主な着眼点

(1) 商品開発に係る取締役の認識及び取締役会等の役割

取締役会において、保険会社の経営計画経営方針に沿った商品開発に係る方針を明確に定めているか。

② 取締役は、商品開発に係る内部管理が健全性維持適切な業務運営の確保に重大な影響を与えることを十分認識しているか。

③ 取締役会は、商品開発に係る内部管理について統合的に管理できる体制を整備しているか。また、上記の体制においては、例えば、商品開発に関連する各部門の間で相互牽制等の機能が十分発揮されるものとなっているか。なお、組織体制については、必要に応じ随時見直し、商品開発方針や内部管理手法の変更にあわせて改善を図っているか。

④ 適切な商品開発に係る内部管理を行うため、業務に精通した人材を所要の部署に確保するための人事及び人材育成等についての全社的な方針を、取締役会等又は取締役会から権限を授権されている取締役等(執行役員等の役員を含む。以下同じ。)が明確に定めているか。

⑤ 経営上の観点から重要なものについては、商品内容の概略決定にあたり、収支予測保険引受リスクコンプライアンス販売計画システム開発保険商品特有の道徳的危険等についての課題及び検討内容等を取締役会等において議論することが確保されているか。

保険計理人は、保険料及び責任準備金の算出方法その他の保険数理に関する事項について、関連する部門と連携を密にした上で、必要な場合には取締役会等に対して、問題点等を適確に報告しているか。

(2) 商品開発に関与する管理者の認識及び役割

① 商品開発に関連する部門の長及び商品開発に責任を有する取締役等(以下、「商品開発関連管理者」という。)は、自ら及び各部門の担当者が、商品開発に係る適切な内部管理を阻害することとならないよう、内部管理についての理解・認識の徹底を図っているか。

② 商品開発に際し、とりまとめ部門を設置している場合においては、適切な商品開発態勢を構築するために必要な管理・指導を関連する部門に行っているか。また、とりまとめ部門を設定していない場合においては、商品開発の全般について取締役等が内部管理の状況を統合的に管理しているか。

健全性維持適切な業務運営が確保されるような商品開発がなされるよう、商品開発のための規程を取締役会等で議論した上で整備しているか。また、商品開発に係る規程を充実・改善するよう、適切な方策を講じているか。

④ 商品開発関連管理者は、商品開発を行うための組織が機能を有効に発揮できるよう、専門性も考慮しつつ適切に人員の配置を行っているか。

(3) 取締役会等への付議体制

① 経営に重大な影響を与える新保険商品の開発又は既存保険商品の改廃に際し、当局への申請が必要なものについては、当局への申請前に取締役会等の付議を要することとしているか。また、取締役会等への付議基準は明確となっているか。

② 支店形態等で進出している場合など、当局への申請に際して本社等と現地組織との責任関係が明確となっているか。当局への申請前における本社等の承認が必要な場合にあたっては、法令等遵守状況の確認については現地組織において実施するものとなっているか。また、当該確認は現地組織の独立性が確保された上で、自己の責任に基づき実施されているか。

(4) 商品開発能力の向上のための措置

人材育成及び商品開発能力を向上させるための方法・体制を整備し、専門性を持った人材の育成を行っているか。

② 保険契約の内容が保険契約者等の需要利便に適合した内容となるよう、例えば、一般消費者に対する市場調査を適宜実施し、活用しているか。

(5) 関連部門との連携

① 商品開発案件の洗い出しは、適切なプロセスにより行われているか。例えば、顧客ニーズ営業対策面からの開発要請、保険引受リスク収益改善等からの要請、コンプライアンス上の必要性等の観点から検討されているか。

② 取締役会において定めた商品開発に関する方針に沿っているか、開発負荷はどの程度かといった点等を勘案して、開発案件の選定を適切に実施しているか。

③ 商品内容の概略決定にあたり、収支予測保険引受リスクコンプライアンス販売計画システム開発保険商品特有の道徳的危険等についての課題及び検討内容等を各関連部門において議論しているか。なお、収支予測については、商品ごとに保険会社の経営実態を踏まえた実現可能性の高い保険事故発生率並びに事業費その他のシナリオに基づき問題ないものとなっていることを確認しているか。

社内規定等に定める付加保険料の算出方法が合理的かつ妥当なものであり、かつ、その算出された付加保険料が不当に差別的なものとなっていないことが確保されているか。特に、付加保険料の割増引きを設定する場合には、契約方法保険料の払込方法等に基づいたものとなっており、事実上の特別利益の提供(法第300条第1項第5号)になっていないことに留意する。

⑤ 関連部門は、販売量拡大収益追及を重視する、例えば、営業推進部門や収益部門から不当な影響を受けることなく、商品に伴うリスク、販売上の留意点等の商品の課題に対する検討を行っているか。また、検討内容等について、取締役会等又はとりまとめ部門等(商品開発の全般を管理する取締役等を含む。)に対し、直接、必要に応じ随時報告を行っているか。

⑥ 関連部門は、取締役会等又はとりまとめ部門等に対して分かりやすく、かつ、商品開発に係わる経営に重大な影響を与える情報を網羅し、正確に報告しているか。

⑦ 商品開発の全般を管理する取締役等や商品開発部門の長に権限が委ねられている商品開発上の事項について、適切な権限行使がなされているかを定期的に点検・監査するなどの管理が行われているか。

⑧ 商品内容については、既存の各種規程等との整合性がとれているか、表現は適当か、使用データに誤りはないか等、健全性維持適切な業務運営の確保に対するチェックの観点は明確となっているか。

社内態勢の整備にあたっては、募集時のみならず、保険金支払いに至るまで、保険契約者・被保険者・被害者等に対し、適切な対応が図られるよう検討を行っているか。

⑩ 保険約款の作成については、契約者の視点に立って、分かりやすい内容となるよう努めているか。なお、専門用語法律用語の安易な使用が保険契約者の保険約款に対する理解を困難なものにすることに留意しているか。

⑪ 保険契約の内容に影響を与える法令等の改正履歴及び改正予定について、遺漏なく把握すべく態勢を整備しているか。また、保険法においては、介入権、被保険者による解除請求、危険の増減、保険料の未経過期間に対応した合理的かつ適切な金額の返還など保険契約に係る制度が改正及び新設されており、当該制度に適切に対応できる態勢を整備しているか。

⑫ 保険商品の開発等に係るシステム開発時のチェック及びシステム開発後のチェック・管理については、「Ⅱ-3-14-2 システムリスク管理態勢」も参照のこと。

(6) 申請手続きのための検討体制

申請関係書類(当局の審査に必要と認められる資料を含む。)を作成する場合に、事前に十分な検討を行っているか。また、充分な募集体制整備が図られるよう、できるだけ早期に計画的に準備し、時間的余裕をもって申請を行うことができるよう努めているか。

② 各関連部門のチェックの後に全般的なチェックを実施しているか。また、チェックを統括する責任者は明確となっているか。

(7) 当局審査における指摘事項等に対する対応

① 主な指摘事項に対する検討状況や検討結果を事後的に確認可能であるように記録しているか。

② 取締役会等で議論の前提となっていた収支予測保険引受リスクコンプライアンス販売計画システム開発等へ影響を及ぼすなど、特に重要な指摘事項については取締役会等において議論しているか。

(8) 書類全体に係る正確性確保のための体制

書類の作成に際して、申請書類作成担当者以外の職員(メンバー)による読み合わせの励行等、複層的チェックを行う態勢の確立などにより、記載内容に係る正確性確保のための措置を講じているか。

(9) 商品販売開始前の態勢

① 販売商品に係る業務規程の整備、販売資料の作成・確認、契約データ管理、必要なシステム対応等の態勢が整備されるよう準備期間をとっているか。

② 本店のみならず、営業店(保険代理店(「生命保険代理店」(法第 2 条第 19 項に規定する「生命保険募集人」のうち、生命保険会社の委託を受けた者、若しくは、その者(法第 275 条第 3 項に基づく認可を受けた者に限る。)の再委託を受けた者で、その生命保険会社のために保険契約の締結の代理又は媒介を行う者をいう。以下同じ。)及び「損害保険代理店」(法第 2 条第 21 項に規定する者をいう。以下同じ。))を含む。)に対し、業務規程の内容顧客への説明方法等の募集時の留意事項について充分に周知が図られるよう準備期間をとっているか。

(10) 商品販売開始後のフォローアップ

リスク管理を適切に行うために、商品開発プロセスの中にフォローアップが組み込まれているか。

② 販売後のフォローアップについて、その視点、担当部署時期手法結果の利用方法は明確に定められているか。

③ フォローアップを販売開始後の適切な時点で実施しているか。

④ フォローアップ結果は取締役会等に対して直接、必要に応じ随時報告されているか。また、報告の内容は分かりやすく、かつ、正確なものとなっているか。

保険契約の引受けが業務規程に則って行われていることのチェックを実施しているか。

特に、本店以外の部署に保険契約の引受けに係る裁量権があるものについて、その裁量権の内容を理解した引受けが行われていることのチェックを実施しているか。

⑥ 保険種類別などの適切な単位ごとに収支分析保険料及び責任準備金の計算基礎率の妥当性の検証を実施しているか。

特に、特約自由方式が可能な契約を主たる対象とする集団とそれ以外の集団が混在する保険種類にあっては、その集団別に検証を実施しているか。

⑦ 上記⑥の検証結果等を踏まえ、必要に応じて基礎率の改定を実施しているか。

⑧ 想定外の収支の悪化リスクの増大を防ぐために、少なくとも基礎率を同じくする保険契約の区分ごとに発生率の変動要因を分析・検証し、悪化の場合にはその原因を特定できるよう定期的なモニタリングを行い、販売方針の変更商品内容価格の改定、売り止め等の対応を適時に検討するための管理態勢を整備しているか。

⑨ 商品に対する顧客保険代理店からの意見収集などによるフォローアップの結果を、今後の商品開発に反映させるための体制を整備しているか。

監督指針_Ⅱ-2-5-3 監督手法・対応

商品開発に係る内部管理態勢について問題があると認められる場合には、必要に応じて法第 128 条に基づき報告を求め、重大な問題があると認められる場合には、法第 132 条に基づき行政処分を行うものとする。